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特定調停

従来は、前記の調停による利息制限法所定の制限利率で引直しを行い、債務総額の減額や債務者の現状に即した返済方法の変更等が行われてきたが、調停制度を利用した債務整理が増加したことに対応して2000年に施行されたのが特定調停である。特定調停は、特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律(特定調停法)に基づいて行われる。特定調停法は、「支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法(昭和26年法律第222号)の特例として特定調停の手続を定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進すること」(同法第1条)を目的としている。

調停であるため、本人が手続をすることができ、また調停委員会が仲介する。通常の民事調停と異なる点としては、民事執行手続を無担保で停止できること、必要なときは調停委員会が取引経過の開示を債権者に求めることができること、があげられる。特定調停のメリットとしては、①申立費用も債権者1件につき500円ですむ、②債権者からの取立てが止まる、③法律を知らなくても専門家の調停委員会が対応してくれる、④自己破産と異なり支払不能状態でなくてもよく、かつ借金の使途が問われることはない、⑤破産者となることもなく財産を手放す必要もない、ことがあげられる。

特定調停を申し立てることができるのは特定調停者である。特定調停者とは、特定調停法第2条第1項において「金銭債務を負っている者であって、支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいう」とされている。特定調停の申立は、原則として債権者の住所地を管轄する簡易裁判所に申立を行う。申立をする際には、特定調停手続により調停を行うことを求める旨の申述を行う必要がある。

また、特定調停を申し立てるときには、①資産の一覧表、②債権者および担保権者の一覧表、③家計簿や給与明細等の生活の状況がわかるもの、④惜入れの内容がわかるもの、⑤これまでの返済の内容がわかるもの等の資料が必要とされる。調停の中立を行うと、2~3週間後に申し立てた簡易裁判所より調停期日の呼出状が送付されてくる。この調停期日において調停委員会において話合いが2回行われるのが通常である。1回目は調停委員より生活状況や返済計画等について聞かれ、2回目は債権者を交えた話合いとなる。調停が成立すると、調停調書が作成される。この調停調書は判決と同様の効果があり、調停で合意したとおりに返済しなければ、債権者は債務者の財産に対して強制執行することが可能となる。

ゆえに調停案を作成する段階においては、債務返済が可能である金額での合意が必要であり、債務者にとって努力目標ではなく、債務者にとって現実的な案を作成する必要がある。なお、調停が合意に至らず不成立になった場合には、裁判所が調停委員会の意見を聴き、「調停にかわる決定」を出すことも可能である。この調停にかわる決定に対しては異議の申立をすることができるが、、実際に意義が申し立てられることは少ない。特定調停は、債務残高が少ない場合には、有効に進めることができ、債務者にとってもメリットの多い債務整理方法である。